無人島へ 1 山王少年

「写真撮っていいですか？」
「オレか？」
舵を操りながら返事のかわりにチラッと白い歯をのぞかせる
海の男のこういうところってカッコいいですよね
それに引き換え言葉を重ねることの野暮なことよ
ときには感情のない論理だけで組み立てたりしてね
ああヤダヤダ

無人島への渡し船でのヒトコマ ・・・

折り紙で折れるような形の簡単な船でした
船殻と一体のベンチに腰をおろして自転車を手で支えます
もちろん客は僕一人
運賃は片道大人１人 300円、往復分の先払い
「自転車代は？」
「いらん」

「一応、１時間に１本の時刻が決まっとるけど、何時に迎えに来たらええ？」
「そしたら１２時１０分の便で帰ることにします」
「ほなら１２時１０分に来るわ、もし変更すんねやったら携帯で電話してか」

.




10分足らず、いや5分あまりの船旅を経て２つめの島、無人島に上陸
無人島と言えど、人が住んでいないだけで桟橋とかトイレとか最低限の整備はしてあるようです






桟橋から海中をのぞくと小魚がうようよ
シマシマのなんとか鯛ってのもいましたヨ






とりあえずは島を横切って外海側へ
小さい島なので先ほどから波の音が聞こえています
ド～ン！ド～ン！波ってこんな音もあるのか ・・・
雑木林の木陰が気持ちいい






ちょっとした迷路のようなオフロードがことのほか楽しいのです♪






おおっ！
雑木のトンネルを抜けるとあっという間に海ッ！
スカ～ッ！！！






きらめくこの砂浜に僕一人
他にはだ～れもいません ・・・ っていうか
おそらく今この島にいるのは僕だけなんだろう
なんて贅沢 （笑）






XTC2の傍らに腰を下ろして、しばし寄せては返す波をながめる
ホッ ・・・ ちょっと疲れました
思えばここにたどり着くまでに50km足らず、結構まじめに走った






そこそこ激しい波 ・・・
あいかわらずドーン！ドーン！
ザバザバザバ～ッ






気持ちのいい風に吹かれながら波音に鼓膜をくすぐられてボ―ッ
つい数時間前の出会いを思い出していました ・・・ ・・・ ・・・






早朝、ひとつめの島に渡るべくフェリーを待っているとき
あとから来たローディーさんに声をかけられました

「フェリーに乗るんですか？」
陽に焼けた精悍な顔立ちだが笑うと人懐っこく若い
「そうそう。乗るの？」
「はい」
オフピンクのロードバイク、フレームには "SANNOW" とかいてある
ロードバイクは全然知らない
でも、なんとなくクラシカルな渋さがあることはわかった







「大学生？」
「いえ、高２です」
！！！
高２っていえばＪｒ１とひとつしか違わない
受け答えとか、ほんとにシッカリしている
夏休みの思い出作りに一人でまわるらしい

フェリーの中でもいろいろと話した ・・・
元々この "SANNOW" は彼のお父さんの自転車
長い間、倉庫で眠っていたフレームを引っぱり出して乗れるようにしたのだとか
彼のお父さんは僕より２つ上、若い頃は乗鞍のヒルクライムとかにも出場されていたらしい
乗鞍と言えば "先日teddyさんが走られていたあそこ" でしょ
ホンマモンやないですか！！！
お父さんの話をする彼の言葉の端々に "尊敬" の念が見え隠れする
Ｊｒ１もよそで僕のことをこんな風に話すだろうか ・・・
それはないなぁ～ うらやましいぜぇ～（涙）







「あかん思たらいつでも電話してこい、迎えに行ったるから」 という父の言葉に見送られたという彼
「お母さん心配してたやろ」 と聞くと 「はい、心配してました」 とちゃんと分かってる
息子のことを心配しながらも旅立ち、いや成長を支援する気持ちが痛いほどよくわかる






フェリーを下りてわかれ際 ・・・
「交通安全と水分補給だけはしっかりね」
「ありがとうございます、父と母にも言われています」
爽やか過ぎる笑顔を残して彼は走ってゆきました

父親の愛車を息子がよみがえらせる
オヤジのバイクが今は息子と共に
息子＝SAN、今＝NOW ・・・ ハッ！（笑）






いい旅を ・・・






彼は今頃どの辺を走っているんだろうなぁ～
そんなことを考えながら無人島の浜辺でひとり ・・・ 暑ッ！






気がつくと汗だく
転がったキャップを拾うのももどかしく
ペットボトルのお茶をグビグビグビグビッ ・・・
そろそろ次へ行こう






この無人島は細長い奇妙な形をしている
今いるところより先は一応立ち入り禁止なので
根元の山方面へ向かうことにする






青っ！






防波堤沿いの舗装路を行こうとすると雑草が侵略してきていてこのありさま
どうしよう
雑草の中を突き進むか、引き返してオフロードを行くか ・・・






それとも ・・・
ねえFuelさん、どうしたらいいかなあ？（笑）

つづく

コメント 32

コメントの受付は締め切りました

b.b.さん　こんばんは
無人島っていいですやん。
昨日charingo!さんと走っている時にメールが来たので、
とある島って何処やろうって話題になっていました。
小豆島はこないだ行ったので、淡路かななんてね。
そんなベタなことは通用しませんなっ（笑）
最後の写真の質問ですが、答えは一つですやん。
けっこう幅の広いエエ道がありますやん。
by Fuel (2010-08-29 22:50) 

綺麗な海ですね。　水島？　違うかな？？
とにかく続き、楽しみにしております。。。
by フジさん (2010-08-30 00:08) 

b.b.mk2さん
おはようございまーす＾＾
自分の子供に置き換えて
親の愛情を分かっているお子さんに泣けた＾＾；
良い親子関係だな。。。
最後の写真だったら私も頑張れるかも・・・・・＾＾；

by toshi (2010-08-30 06:17) 

折り紙で折れるような舟って表現　いいでやすね♪
by ぼんぼちぼちぼち (2010-08-30 11:44) 

へぇ～、こんな島があるんですか！
いいな～、行ってみたいなあ～

最近、トシのせいか、やたら涙もろい私。
特に感動すると、すぐ涙が出てきてしまうのだけど、
ピンクの自転車の彼に超～感動！
こんな青年がいるなんて、世の中、まだ捨てたもんじゃないね。
Ｊｒ１くんも、きっとよそではb.b.ちゃんのこと、
彼みたいに話していると思いますよ！

by cjlewis (2010-08-30 17:03) 

こんばんは
無人島　いいですね～
息子＆おやじの関係って婆好きですよ♪
言葉は少ないけど。。。
Ｊｒ１くんとも、いい関係を築いてね！ｂ。ｂ。さん！

by まりっぺ (2010-08-30 20:12) 

こんばんは
SANNOW調べました。
慶応大学の前にあった自転車屋「高橋のおっちゃん」の手作りの
「ＳＡＮＮＯＷ自転車」だそうです。
ＳＡＮＮＯＷ＝山王　みたいです。

おとうちゃんは元慶応ボーイだったかも☆

by hayazou2002 (2010-08-30 20:16) 

↑そうなんですか、スゴイですね。
父親の自転車を息子が乗るなんて、素晴らしいことですね。
じゃあ自分も・・・・娘だった。

by ドングリ (2010-08-30 21:27) 

b.b.mk2さん！！
　無人島！一人旅！「絵になりますね～～！」
SANNOW（桃色のロードバイク）！親父のを直して乗る息子！！
泣けてきますね～～！！
　いろんな人との出会いがあり、本当に素晴らしい！
【　BB旅行記！】出版しますか？
by teddy0905 (2010-08-30 22:02) 

Fuelさん、こんばんわ―
当たらずも遠からずってやつですヨ！（笑）
高所恐怖症なもので雑草の中をつっきりました。
堤防の方はお任せしますね。
by b.b.mk2 (2010-08-30 23:39) 

フジさん、こんばんわ―
瀬戸内海ですがきれいでしたヨ。
結局海はどこも美しいんですね。
by b.b.mk2 (2010-08-30 23:41) 

toshiさん、こんばんわ―
きっといい親子関係なんだと思いましたよ。
素直で真っ直ぐで・・・
最後の写真、僕はやめておきました。
プロに任せておきましょう（笑）
by b.b.mk2 (2010-08-30 23:44) 

ぼんぼちぼちぼちさん、こんばんわ―
ありがとうございます。
はじめは「折り紙で折れるような船」だったのですが
思い立って「折り紙で折れるような形の船」に変えました。
変えない方がよかったかな・・・
「船」はぼんぼちぼちぼちさんが書かれているように「舟」の方が雰囲気出てますね。
by b.b.mk2 (2010-08-30 23:47) 

cjlewisさん、こんばんわ―
僕も最近涙もろいなぁ～
トシかなぁ～（笑）
Jr1はどうかな・・・まあ元気ならそれでいいんだけどネ

by b.b.mk2 (2010-08-30 23:50) 

まりっぺさん、こんばんわ―
無人島ってほんとにいっぱいありますね
順番にまわろうかな（笑）
Ｊｒ達は元気ならそれでいいんですけどね。
by b.b.mk2 (2010-08-30 23:53) 

hayazouさん、こんばんわ―
ありがとうございます
山王ですか！ますますヒルクライムですよね（笑）
おっちゃんの手作り自転車、ますます愛着がわくでしょうね。
by b.b.mk2 (2010-08-30 23:55) 

ドングリさん、こんばんわ―
いやいや、女性ひとりのローディーさんも見ますよ
是非是非（笑）
by b.b.mk2 (2010-08-30 23:56) 

teddyさん、こんばんわ―
泣けてくるでしょう～
同じ自転車乗りとして親父さんの喜んでる姿が目に浮かびます。
乗鞍天空ツーリングはすごいですね。
改めて拝見して心底感動しました。
by b.b.mk2 (2010-08-31 00:00) 

何処?　ここ?
無人島とは思いつきませんでした。
by charingo (2010-08-31 00:12) 

私はデュランタが好きにコメントありがとう。
蜂を写すのはとても苦労します、
蜂が苦手なうえ、たえず移動します、
ピンと合わせが出来ません、
とにかくやみくもに蜂めがけてシャッターを押すしかありません。

by みたやん (2010-08-31 06:11) 

b.b.mk2 の旅は、いつもドラマがありますよね～
自転車乗りで父親としては、今回は更に心深い一時がありましたね^^
それにして無人島!?
良い所、知ってますね～
空は青いし、海もキラキラ☆
夏を生きてますね！（笑）

by Ｓ_Ｓ (2010-08-31 09:41) 

こんにちは、倉庫で眠っていた山王ロード＆105、懐かしいですね。
22年ほど前のホビーレーサーのスタンダードです。
我が家の倉庫にも、25年前のパナ＆600レーサーが眠っておりますが、
息子たちは見向きもしません。親子二代に渡って乗り継がれるレーサー、
羨ましいですね。

無人島、碧い海、瀬戸内は奥が深いですね。
by 多動オヤジ (2010-08-31 10:25) 

とってもワイルドなツーリングですねｗ（・・）ｗ
無人島に少年の心を持ったｂ.ｂさん一人・・・
カッコイィなぁ～～☆
by P-TAN (2010-08-31 16:29) 

charingoさん、こんばんわ―
この無人島は成ヶ島っていいます。
意外と近くでいいところですよ！
by b.b.mk2 (2010-08-31 22:08) 

みたやんさん、こんばんわ―
デュランタって不思議な感じがしますね
そこだけ色彩のレンジが違うような・・・
ハチは僕もダメですねぇ～
by b.b.mk2 (2010-08-31 22:12) 

S_Sさん、こんばんわ―
ありがとうございます。
後に書きますが、帰りのフェリーでも単車で九州と四国をまわってきたという兄ちゃんに声をかけられました。出会いが多いと得した気分ですね（笑）
by b.b.mk2 (2010-09-01 21:09) 

多動オヤジさん、こんばんわ―
山王・・・ご存知でしたか！
さすがです。
うちのＪｒ達もなかなか自転車の方をむきませんね～
まあ、こればっかりはしょうがないですね。
ひとり気ままにもいいもんです。

by b.b.mk2 (2010-09-01 21:12) 

P-TANさん、こんばんわ―
ありがとうございます。
ワイルドなのはここからですヨ（笑）
by b.b.mk2 (2010-09-01 21:15) 

b.b.mk2さんの旅には、必ずと言っていいほど、ステキな出会いがありますね～。
これがまた、 人っていいな～と思わせてくれます♪

綺麗な空と海の青が眩しいです☆
続き、楽しみにしてます。
by kyon (2010-09-01 22:07) 

kyonさま、こんばんわ―
ひとりで走るときは、日常の反省をしてるか人恋しくなって誰かと話してるかですからねぇ～（笑）。この日はなぜかこえがをかけられることの多い日でした。この山王少年もですが、帰りには単車野郎（超オトコマエ）に声をかけられて話し込みました。後にＵＰしますのでお楽しみに！
by b.b.mk2 (2010-09-01 22:30) 

　８枚目の写真とてもいい感じで好きです。b.bさんは、ほんとにいいロケーションを選ばれるので毎回わくわくしてしまいますね。
by juntaro (2010-09-02 22:58) 

juntaroさん、こんばんわ―
ありがとうございます
今回もホイール越し等、juntaroさんの技法をマネさせていただきましたヨ。
by b.b.mk2 (2010-09-03 00:16)